御経日(毎月1日) 住職法話 『臨終用心抄㉕』

『臨終用心抄㉕』(総本山第二十六世日寛上人が臨終の大事とその心得えを御指南された書)

令和8年4月度御経日  (令和8年4月1日(水))


妙法の三力(みりき) ②法力とは妙法唱題の力

【本文】

一、妙法三力(みりき)の事。仏力・法力・信力なり。

法力

御書の三十二(十二)に云わく「又法華経の題目を臨終の時に二返唱へ給(たも)ふと云々。法華経の第七に云(い)はく『我が滅度の後に於(おい)て応(まさ)に此(こ)の経を受持すべし。是の人仏道に於て決定(けつじょう)して疑ひ有ること無けん』云々。妄語(もうご)の経々すら法華経の大海に入りぬれば、法華経の御力(みりき)にせめられて実語と成り候。況(いわ)んや法華経の題目をや。白粉(おしろい)の力には漆(うるし)を変じて雪の如く白くなす。須弥山(しゅみせん)に近づく衆鳥(しゅうちょう)は皆金色(こんじき)なり。法華経の題目を持つ人は、一生乃至過去遠々(おんのん)劫(ごう)の黒業(こくごう)の漆変じて白業(はくごう)の大善となる。況(いわ)んや無始の善根(ぜんこん)皆変じて金色(こんじき)と成り候なり。然れば故聖霊(こしょうりょう)、最後臨終に南無妙法蓮華経と唱へさせ給ひしかば、一生乃至無始の悪業変じて仏の種(しゅ)と成り給ふ。煩悩即菩提、生死即涅槃、即身成仏と申す法門なり」〔一四八三〕文。此れは是れ法力なり。


【語句解説】

妄語・・・実語の対語で不実の言語。

須弥山・・・仏教に説かれる世界の中心に位置するとされる聖なる山のこと。

仏の種(仏種)・・・成仏の根本因となる種子。

煩悩即菩提・・・衆生の心身を煩わせる煩悩が転じて悟りの智慧である菩提となること。

生死即涅槃・・・苦しみの境界にある九界(菩薩界から地獄界)の衆生が、その身そのままで悟りの智慧(ちえ)を証得し、涅槃(ねはん)の境界になること。

即身成仏…我が身がそのままで成仏を遂げること。


【現代語訳】

一、妙法の三力のこと。これは仏力・法力・信力である。

法力

 『妙法尼御前御返事(みょうほうあまごぜんごへんじ)』に「高橋入道は臨終の際に題目を二返唱えられたとお手紙にあった。 法華経第七の巻神力品(じんりきほん)に『我が滅度の後に於て応(まさ)に此の経を受持すべし。是の人仏道に於て決定(けつじょう)して疑ひ有ること無けん』と説かれている。

 仏説のなかに妄語(もうご)と実語(じつご)等があるが、妄語の経々ですら、法華経の教えに帰入(きにゅう)すれば法華経の御力によって実語となるのである。

 ましてや法華経の肝心である南無妙法蓮華経の題目の力は言うまでもないことである。

 おしろいには漆を雪のように白くする力がある。須弥山に近づく鳥は皆、金色(こんじき)にする力がある。法華経の題目を受持する人は、一生乃至過去遠々劫からの悪業を黒い漆を転じて大善の白色となるのである。 ましてや無始以来の善根は言うに及ばず、みな変じて金色となるのである。

 そこから立ち返ってみれば、故人(故聖霊)は最期の臨終の時に南無妙法蓮華経と唱えられたのであるから、一生乃至無始以来の悪業は転じて仏種となったのである。 煩悩即菩提、生死即涅槃、即身成仏と申す法門はこれである(御書1483取意)と。 私に言うには、この御文は妙法の法力を示されたものである。


〔御指南を拝して〕

 今回は「妙法の三力② 法力とは妙法唱題の力」を拝し、妙法蓮華経の三力の内の法力の功徳が仰せられていました。 はじめに譬(たと)えとして仏様のお経の力(法力)によって、嘘の妄語ですら法華経に帰入すれば実語に変えられる功徳があると示されています。

 白粉(おしろい)を漆に塗れば雪になるように、また須弥山に近づく人はみんな命が金色(こんじき)と成るように、臨終のときに法華経の肝心である南無妙法蓮華経のお題目を唱える人は、仮に過去から重い罪を犯してきた者であっても、現世に重い罪を犯した者であっても、お題目の御力によって煩悩が菩提と転ずるように、生死が涅槃と転じるように、みんな即身成仏の大功徳を得ることができる御力が妙法の法力であると大聖人様は教えられています。

 以上の教えを拝し、我々は臨終のときには必ずお題目を唱えることが即身成仏の大願を果たせる唯一の方法であり、そして常々このことを胸に刻み、日々の仏道修行に励行することが肝要であることをけっして忘れず励行していきましょう。

 臨終を我々はいつ迎える誰も判りません。 如何なる時臨終を迎えてもいいように『臨終用心抄』の教えを自分だけでなく家族の方・親族の方等と何度も拝しておくことが大事であることを決して忘れずに実践し続けましょう。

以 上

日蓮正宗 法寿山円照寺(呉市)

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