~彼岸会に向けて~ 『薬王品得意抄』
『生死(しょうじ)の大海には爾前(にぜん)の経は或いは筏或いは小船なり。生死の此の岸より生死の彼の岸には付くと雖(いえど)も、生死の大海を渡り極楽の彼岸にはとづきがたし』(御書350㌻)
この世・娑婆世界と死後の世には、大河が流れ、この世から死後の世界を見る時、死後の世は彼の岸・「彼岸」といい、この世はこちら側・此の岸・「此岸(しがん)」と言います。その此岸より彼岸へは大河を船に乗って渡らなければ到達する事ができません。
その船とは、仏教に説かれる種々の教えであり、その教えによって小さい船から大きな船があり、小さい船でも頑丈な船からそうでない船、また大きい船も同様に、頑丈な船から直ぐに壊れてしまう船まで、多種多様に存するのです。大聖人様は「生死の大海を渡らんことは、妙法蓮華経の船にあらずんばかなふべからず。」(椎地四郎殿御書1555㌻)と説かれ、多種多様の船・教えの中でも仏様の出世の御本慨たる妙法蓮華経の教えの船が、最も大きく、最も頑丈であり、必ず涅槃の地たる彼岸へ到達することができると仰せられています。
日蓮正宗では、常盆常彼岸(常にお盆の如く・常に彼岸の如く)で常に御先祖に感謝し、そして追善供養を行っていくよう説かれており、我々僧俗も行じています。故に、毎日追善供養をしているのだから3月・9月の彼岸会を行わずともよいのでは?と考えてしまいますが、大聖人様は「寺院の妙法蓮華経の御本尊様の基で修ずるならば、謗法の寺社への参詣を防ぎ、自分自身が謗法行為をすることなく、且つ御先祖へ最高の供養を行う事ができる」との四悉檀の意義より、日蓮正宗でも3月・9月の彼岸会を奉修しているのです。
彼岸会は、御両親・御先祖への追善供養という感謝を表す時間です。普段、ご家族へ信心の話しがしにくい場合、この彼岸の機会を逃さず彼岸の意義・御先祖供養の大事を伝え、家族揃って一緒に両親及び御先祖への追善供養を成し、感謝を表しましょう。
以上
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